AIの買付先リストに、使っていた店がない。調べて、自分の記憶も疑った

AIの買付先リストを表示したパソコンと、昔の買付メモ、虫眼鏡。「AIの買付先リスト 自分の記憶も確かめた」の文字。

115軒も挙げているのに、Brownsがない。

AIの回答を見て、最初に引っかかったのはそこでした。以前、自分が使っていた買付先です。「この店を落とすのか」と思いました。

ところが、公式サイトを開いてみると、話はそう単純ではありませんでした。

目次

在庫を探す前に、どの店を見るか

買付の仕事で時間を食っていたのは、問い合わせへの返信文を考えることより、その前の在庫確認でした。

お客さんから「在庫ありますか?」と聞かれる。その時点では、こちらも知りません。

買付先のサイトを開き、無ければ次の店。また次の店。

ただ、闇雲に探していたわけではありません。「このブランドなら、まずあの店を見る」という対応表が、頭の中にありました。

10年かけて覚えた買付先を、AIはどこまで挙げられるのか。

今回は、在庫を探す最初の段階にある「買付先の候補出し」を試しました。

同じ質問を、2つのチャットに投げました

Off-Whiteを取り扱っているヨーロッパのセレクトショップ/
オンラインストアを、知っているだけ挙げてください。

条件:
・Web検索は使わず、あなたが学習した知識だけで答えてください
・国ごとに分けて店名を列挙してください
・最後に、合計で何店挙げたかを書いてください

使ったのは、有料のChatGPT「GPT-6 Astra」と、無料の「ChatGPT Free」です。無料のほうは、モデル名の表示がありませんでした。

どちらも新規チャットで、1回ずつ聞いています。厳密な性能比較ではなく、今回返ってきた2つの回答を、自分の買付経験と照合しました。

115店と86店。まずは数え直しました

回答AIの自己申告私が数え直した結果
有料(GPT-6 Astra)115店115店・20カ国
無料(ChatGPT Free)89店86店・18カ国

無料の回答は「89店」と書いていましたが、並んでいたのは86店でした。店名を確かめる前に、合計の数から確認することになりました。

旧名と新名が併記された「Residenza 725(旧Coltorti)」は、1店として数えています。

続いて、以前の買付先として記憶していた16軒と照合しました。

LUISAVIAROMA / Antonioli / Slam Jam / Tessabit / Julian Fashion / Gente Roma / Giglio / Coltorti / Farfetch / END. Clothing / Browns / Selfridges / MR PORTER / MATCHESFASHION / MyTheresa / Vitkac

  • 有料回答には13軒。 無かったのは、Gente Roma、Browns、MATCHESFASHION。
  • 無料回答には11軒。 無かったのは、Gente Roma、Coltorti、Julian Fashion、MATCHESFASHION、Vitkac。

有料回答の「Residenza 725(旧Coltorti)」は、私のリストのColtortiと同じ店として照合しています。

ここで気になったのが、冒頭のBrownsでした。

リストに無かった店を調べました

どちらかの回答に載っていなかったのは、重複を除くと6軒。その店を中心に、公式ECの表示や名称を確認しました。

店有料回答無料回答確認した内容・照合メモ(2026年9月20日)
Brownsなしあり確認したデザイナー一覧にOff-Whiteが見当たらず、ブランドページは404。販売を確認できず
VitkacありなしOff-Whiteのメンズ商品一覧に90点と表示。販売中の商品を確認
Julian FashionありなしOff-Whiteのメンズ商品一覧に34点と表示。販売中の商品を確認
Gente Romaなしなし公式ECは新しいストアの「近日公開」を案内する画面
Coltortiありなし有料回答では「Residenza 725(旧Coltorti)」と表記。ここでは名称の対応を記録
MATCHESFASHIONなしなし公式サイトに「Relaunching 2026」の表示

※「あり/なし」はAIの回答への掲載の有無です。Coltortiの行は名称の照合で、現在の取り扱いを確認した記録ではありません。

AIのリストを疑ったら、自分の記憶にも戻ってきました

Brownsの公式サイトでは、今回Off-Whiteの販売を確認できませんでした。ページが見つからないだけで、取り扱い終了とまでは断定できません。

それでも、以前使っていた店だから、今も同じように買えるはずだとは言えませんでした。私が買付先として覚えているのは、10年近く前の状況です。

Gente Romaは新しいストアの近日公開を案内し、MATCHESFASHIONは「Relaunching 2026」と表示していました。

AIの回答を確かめるために出した自分のリストも、そのまま正解にはできなかった。

今回、気づいたのはそこです。

ただし、AIが現在の状況を知ってBrownsを挙げなかったのかは分かりません。検索を使わせていない今回の回答では、事情を踏まえた除外なのか、単に挙げなかっただけなのかを区別できません。

販売中なのに、回答に無かった店もありました

一方、無料回答に無かったVitkacとJulian Fashionでは、Off-Whiteの商品が販売されていました。

Vitkacには「Exclusive for DH Vitkac」と、同店限定を示す表示のあるTシャツもありました。

この2軒については、確認時点で商品を販売しているのに、回答には載っていませんでした。

有料回答のほうが私の16軒と多く一致したのは事実です。ただし、今回調べたのは一部の店だけ。115店のリスト全体が正確で、網羅的だと確かめたわけではありません。

長いリストが返ってきても、それで探し終わりにはできませんでした。

買付経験は、確かめるきっかけになりました

今回、回答の抜けに気づけたのは、自分の買付先リストがあったからです。

ただ、その経験も古い情報を含んでいるかもしれない。AIの回答と、自分の記憶。両方を公式サイトに当ててみて、初めて分かることがありました。

経験が無ければできない、という話ではありません。別の資料と照合したり、複数のAIの回答を比べたりしても、確かめる店を見つける手がかりになります。

そのうえで、今も扱っているかを公式サイトで確認する。私なら、店名の一覧はそこまで進むための候補として使います。

在庫確認そのものは、まだ解決していません

今回、AIは買付先の候補を書き出すことには使えました。

でも、お客さんが知りたいのは「Off-Whiteを扱う店が何軒あるか」ではありません。欲しい商品の、欲しい色とサイズが買えるかどうかです。

そこは、別に確かめる必要がありました。今回は作業時間も計っていないので、どれだけ時間を減らせたかは分かりません。

店名が115軒並んでも、それだけでは「在庫あります」と返事はできない。

一番時間を使っていた作業は、まだ片づいていません。

候補の店が決まり、公式サイトだけでは在庫が分からない場合は、店へ問い合わせます。

英文メールをAIで作り、別のAIによる添削と日本語への訳し戻しで見直した記録を、こちらにまとめています。差し替えて使えるテンプレートも載せています。

→ BUYMAの買付先に送る英文メールを、AIに書かせてみた


店を調べる途中で、買収や改名、同じ企業グループに属する店の関係も気になりました。この話は、別の記事にまとめます。

この検証の条件

  • 実施日・店舗情報の確認日: 2026年9月20日。
  • 使用したAI: ChatGPTのGPT-6 Astra(有料)とChatGPT Free(無料、モデル名の表示なし)。それぞれ新規チャットで、同じ質問を1回ずつ使用しました。
  • 質問の条件: Web検索は使わせず、取り扱いの時期は指定していません。
  • 記録していない設定: メモリやカスタム指示。過去の情報や設定の影響を厳密に除いた比較ではありません。
  • 照合・確認の範囲: 以前の買付先として記憶していた16軒と回答を照合し、どちらかの回答に無かった6軒について、表に記載した内容を調べました。115店・86店すべての現況を調べたものではありません。
  • 商品点数: 確認したメンズ商品一覧の表示件数です。特定商品の色・サイズの在庫数ではありません。表示は地域設定や確認時期で変わる可能性があります。
  • 作業時間: 計測していません。

各1回ずつの記録です。有料・無料全般や、モデルごとの優劣を示す比較ではありません。


※ 店舗の取り扱い状況や商品点数は確認時点の記録です。実際の仕入れでは、在庫や配送条件をあらためて確認してください。

※ 当時の取引記録は手元に残っていないため、過去の買付先については私の記憶に基づいています。

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